明豊が大分商を下し、4年ぶり5度目の甲子園出場を決めた。左腕前田剛投手(3年)が初戦から全5試合を1人で完投。プロ注目の大分商、森下暢仁(まさと)投手(3年)から3回に奪った虎の子の1点を守り切った。

 明豊が昨夏のリベンジを果たした。大分との決勝で9回2死から同点に追いつかれ、延長の末敗退。昨秋も九州大会準々決勝で延長で糸満に敗れ、センバツ出場を目前で逃しただけに、喜びもひとしお。前田は9回2死から連打を許したが動じなかった。「アウト1つの大切さを1年間ずっとみんなで言い続けてきた。開会式で『決勝で投げ合おう』と約束した森下と投げ合えてうれしい」と、胸を張った。

 今大会は待ちに待った舞台だった。1年夏から試合に出場していたが昨夏は左肩関節唇損傷でスタンド応援。痛みが引かず、投手を諦め、練習でファーストミットをはめたこともあった。だが、川崎絢平監督(33)から「絶対に野手では使わん。投手で戻ってこい」と言われて腹を決め、再び秋からマウンドに上がった。

 決勝前日、中学時代に大分南リトルシニアで共にプレーし、昨夏大分から甲子園出場を決め、オリックスに入団した佐野皓大投手(18)から「次はお前の番や!」と激励メールが届いた。前田は「任せてください」と返信。8安打を許しながらも得点は与えず、先輩との約束を果たした。

 「甲子園では森下の分も頑張りたい」。前田は県NO・1投手に投げ勝った自信を胸に、甲子園のマウンドに上がる。【福岡吉央】

 ◆明豊 1999年(平11)に別府大付と明星の学校法人合併で発足した男女共学の私立校。生徒数536人(女子302人)。創部は別府大付時の52年。部員は89人。甲子園は夏は5度目の出場で01、09年の8強が最高。春は2度出場。主なOBに城島健司(元阪神)、今宮健太(ソフトバンク)ら。所在地は別府市野口原3088。小野二生(つぎお)校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦3-2楊志館

3回戦6-2日田林工

準々決勝4-0宇佐

準決勝9-3柳ケ浦

決勝1-0大分商