ノーシードで勝ち上がってきた比叡山が、強打の近江を破り16年ぶり8度目の甲子園を決めた。

 最後の打者を中飛に打ち取ると167センチ、60キロの右腕、山崎僚太(3年)がガッツポーズ。マウンドにナインが駆け寄り、「背番号18」の小さな“胴上げ投手”は埋もれてしまった。

 「バックが本当によく守ってくれました。外角へのカットボール、スライダーがよく決まりました」

 最速は132キロ。それでも1球1球を丁寧に内外角に投げ分けた。決勝戦まで4試合コールド勝ちでチーム打率4割を超える近江打線を6安打完封で沈黙させた。

 不祥事があり、11年9月から、急きょ母校の指揮を執ることになった河畑成英監督(31)は「いろいろなことがありましたけど、本当にうれしい勝利です」と男泣き。試合後には、主将の河合巧巳内野手(3年)から、そっとウイニングボールを手渡された。

 古豪の比叡山だが、夏の大会は、1982年(昭57)に3回戦で鹿児島商工に8-6で勝った後、5連敗中。投打ともに、派手さはないが、粘り強さを発揮して、33年ぶりの「聖地1勝」を目指す。【坂祐三】

 ◆比叡山 1873年(明6)創立の私立校。生徒数1301人(女子485人)。野球部創部は1912年で部員数110人。甲子園は春5度、夏は今回が8度目の出場で8強2度。OBは元日本ハム間柴茂有ら。所在地は大津市坂本町4の3の1。松村実校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦7-2長浜

3回戦16-1八幡

準々決勝3-2北大津

準決勝7-1野洲

決勝5-0近江