上田西(長野)が大坂夏の陣からちょうど400年後の2015年、甲子園で初めての勝ちどきを上げた。草海光貴投手(2年)が真田幸村のごとく、勇猛果敢な投球を見せた。自身初の無四球完封で、初球には自己最速143キロをマーク。「楽しかった。初球は(最速を)狙ってました。チームメートにも宣言していたし、自分でスコアボードを確認しました」。7回のピンチではマウンド上で「勝ったら吉本新喜劇を見に行くんだろ」と確認。今日7日に予定する大阪名物の観劇を引き合いに出し、切り抜けた。

 三塁側アルプススタンドでは、真っ赤なメガホンが揺れた。学校カラーは緑だが、校外での試合では赤に変える。上田城を本拠地にした幸村の代名詞は赤いよろい。原公彦監督(44)のめがねのフレームも赤という念の入れようだ。大会前には、幸村が大坂城の出城とした真田丸と、その跡地にある三光神社を見学。先人の偉業に力をもらった。

 草海は「自己採点は甘い球もあったので80点。スタミナはまだ大丈夫でした」と余裕だった。「日本一の兵(つわもの)」といわれた真田の地で鍛えられた選手たちが、大きな第1歩をしるした。【高橋悟史】

 ◆長野県勢の完封勝ち 94年に松崎幸二(佐久)が敦賀気比を5-0で完封して以来21年ぶり。県勢の無四死球完封勝ちは19年山崎正人(長野師範)が準決勝の小倉中戦に1-0で勝って以来、96年ぶり。