初めての甲子園は、九州学院(熊本)1年生の村上宗隆内野手にとって手応えと悔しさが入り交じる大舞台だった。3回2死三塁のチャンスで三ゴロ。6回には鋭いライナーを放ったが、中飛に終わった。守備では3回に自らの2つの失策で決勝点を献上。それでも、試合後は真っすぐと前を向いた。

 「甲子園は緊張せず楽しめた。打てなかったことは気にしてないし、140キロの投手相手に自分のスイングができた。あと4回(甲子園に来る)チャンスがあるので、先輩や兄ちゃんの分も頑張って、必ず戻ってきたい」

 熊本大会では、ライバル東海大熊本星翔のエースだった兄友幸(3年)が準々決勝で敗退。「頑張れよ」と渡された肘当てをつけて甲子園の打席に立った。坂井宏安監督(58)は「4番らしい雰囲気は出ていたし、風格もあった。結果は出なかったが合格点」と話したが村上は「打てなかったし、先輩たちの夏を終わらせてしまって申し訳ない」と、悔しさを胸に刻んだ。

 エース伊勢は、春の借りを返すことはできなかった。孤独なマウンドに耐えられるようにと、センバツ後、ランニングやダッシュをあえて1人で行い、誰とも話さず自らを追い込んできたが、リベンジならず。「ここで勝つためにやってきたのに、結局負けてしまって意味がない。悔いが残るだけ」と目を腫らした。この悔しさを村上ら後輩たちが受け継ぎ、必ず甲子園に戻ってくる。【福岡吉央】