創成館(長崎)の16強進出はならなかった。だが先発藤崎と2番手水永のダブル左腕がこの日も奮闘。新チーム結成時にエースのいなかった危機を救った2人が、強打の高崎健康福祉大高崎打線と堂々渡り合った。

 藤崎は左横手から相手打線のリズムを崩した。4回まで2安打無失点に抑えた。「序盤は低めに球を集めることができたと思う」。

 だが5回無死一塁から一塁方向へバントを転がされ、ベースカバーに入るのが遅れた。気持ちの切り替えができずに3点を失って降板。「1つでもアウトをしっかり取らないといけない場面だった」と悔やんだ。

 184センチ、61キロの水永も交代直後は無失点で切り抜けた。だが同点後の8回、先頭打者を四球で出した後、4連打を浴びた。「もっと粘ることができたと思う。悔しい」と肩を落とした。

 昨秋鷲崎が左肘を痛め、投手陣の再編成を迫られた。藤崎はソフトバンク森福のフォームを取り入れ、甲子園で先発できるまで成長した。「コーチのアドバイスもあってリリースポイントも安定した」と自信をつけた。降板した時、水永からも「ナイスピッチング。後は任せろ」と激励も受けた。

 稙田(わさだ)龍生監督(51)も「光と勇気を与えてくれた2試合だった」と評価した。藤崎は「甲子園で投げることで自分でも成長できたと思う」と実感していた。初戦で天理を破り、創成館の名前を全国に知らしめた。そこに2人の大きな貢献があったことは間違いない。【中牟田康】