夏の甲子園で東北勢初の日本一を目指した仙台育英(宮城)は、惜しくも準優勝に終わった。

 佐々木柊野主将(3年)の、こん身のビッグプレーだった。3-6の6回表無死。東海大相模8番川地の右翼フェンス際への大飛球を、ジャンプし背中を強打しながらキャッチした。「捕った時の歓声は一生忘れない」。

 脳裏に浮かんだのは昨秋練習試合でのアクシデントだ。同じような打球を追った際にフェンス際の溝に足がはまり、左足甲を複雑骨折した。「今もフェンスは怖い。でもあれは捕るしかない」。恐怖心を乗り越えた好守で球場を沸かせ、同点に追いつくその裏の攻撃につなげた。

 女手一つで育て、私立に進ませてくれた母順子さんに恩返しするため、卒業後は消防士を目指す。「野球をやってきて良かったと思いました。勝ち負けに関係なく、いい経験させてもらいました」。キャプテンは、すべてを決勝の舞台で出しきった。