かつて東海大山形を春夏通算8度の甲子園に導いた滝公男監督(61)率いる山形学院が、鶴岡中央を15-5の6回コールドで下した。就任2年目となる名将を慕って入学してきた1年生トリオを先発に抜てきし、昨年に続いて初戦突破を果たした。

 球場内に怒声が響き渡った。相手校の応援がほぼない中、選手がミスをするたびに滝監督のゲキがグラウンドに反響した。就任2年連続初戦突破に喜びもせず、試合後はボヤきっ放しだった。

 「テンポよく勝たないと。のんびりしてるチームだよね。選手の声が出ない。出したとしても会話しているような声。選手よりも監督の俺の方が声を出している。声がかれちゃうよ」

 滝監督の指導を熱望して入学してきた1年生トリオを先発に起用し、3回までは8-0の完勝ペースだった。4回の途中からリリーフしたエース右腕飯野憧吾(3年)が3連打を浴びるなど、一転して5回までに5失点。滝監督はメンタル面の弱さを指摘した。

 「気持ちが弱い子が多い。借りてきた猫、ヘビからにらまれたネズミみたい。思い切ってやればいいのにね。度胸が据わってないというか。失敗を怖がる。無難にやろうとするからうまくならない」

 名将からの「愛のムチ」は期待の裏返しだ。「6番三塁」で先発し1安打の堀江聖仁内野手(1年)には真意が伝わっていた。「監督にいろいろ言わせている自分たちが悪い。もっとレベルを上げて甲子園にいきたい」と飛躍を誓った。

 今年で61歳になり、指導法に味が出てきた。昨年の就任当初から「今までのやり方でやっても駄目。今の子は昔と違って気質が違うんだから」と対話を重視している。この日、ベンチで大声を張り上げる一方で「カエルのつぶれたような声を出してるんじゃないよ」と選手を笑わせ、肩の力をほぐしていた。明日15日の寒河江工との2回戦に勝てば第1シードの日大山形との激突が濃厚。「次勝てるか分からないけど、できれば日大とやりたいね」。そう宣言する名将の目は、鋭く光っていた。【高橋洋平】