日大山形は同点の9回、7番鹿野佑太内野手(3年)が右前に決勝打。14年から3年連続で敗れていた酒田南を5-4で下して、4年ぶりに決勝進出を決めた。

 苦労人がチームを救った。3点リードの6回、先発した2年生左腕の近藤皓介が酒田南の7番佐藤敦樹捕手(3年)に本塁打を浴び同点に。続く打者にも右前へ運ばれたところで、荒木準也監督(45)は今夏初登板の3年生左腕中西翔をマウンドへ送った。荒木監督が「強い相手ほど力を発揮する投手」と評する左腕は最後まで無失点に抑え、相手に傾いた流れを呼び戻した。中西は「投げる準備は出来ていた。初球の入りを注意して、平常心で投げられた」と笑顔で振り返る。

 5月中旬、左肘を疲労骨折し手術に踏み切る。医者からは「夏は間に合わない」と言われたが、中西は「甲子園に行くために日大山形に来た。何としても間に合わせる」と地道なリハビリを重ね、6月末に投球を再開。7月の練習試合で結果を出し、選手登録変更でベンチ入りした。「球速は落ちたが、緩急やコントロールを磨けば0に抑えられる。次も平常心で自分の投球をする」と意気込む救世主が、4年ぶりの甲子園へ導く。