古豪明石が延長13回タイブレークとなった明石西との「明石対決」を制した。試合は、両エースが1歩も譲らない展開。野手も固い守備で応え、スコアボードには0が刻まれていく。しかし酷暑が選手の体力を容赦なく奪っていった。「9回から足がつっていた。気持ちで投げた」。明石先発の三田村創真投手(3年)は懸命に腕を振り続けたが、延長12回でも決着がつかなかった。

 無死一、二塁から始まる13回はバントが勝敗を分けた。明石西は先頭打者が2ストライクに追い込まれた後、三塁線へ転がした。これに手を伸ばそうとした三田村に、亀井佑真捕手(3年)から「切れ、切れ」と声がかかる。見送った打球はファウルとなり、スリーバント失敗。「切れるか、賭けでした」という亀井の好判断で無失点で切り抜けた。一方、その裏の明石はきっちり犠打を成功。谷口魁弥内野手(3年)がサヨナラ犠飛を放ち、熱闘に終止符を打った。

 169球を投げた三田村は試合後、熱中症の症状により担架で医務室まで運ばれた。意識もあり大事には至ってない模様だが、気持ちで持ちこたえた証しだろう。明石といえば1933年(昭8、当時明石中)の夏の甲子園準決勝で延長25回を戦った伝統校(中京商に0-1でサヨナラ負け)。史上最長記録の大熱戦にはさすがに及ばないとはいえ、後輩たちも過酷な13回タイブレークを戦い抜いた。【鶴屋健太】