北北海道大会は準々決勝3試合が行われ、4強が出そろった。2年ぶりの甲子園出場を目指すクラークが、13-1の5回コールドで、旭川龍谷を下した。1番後藤修志(3年)と8番岡田昂大(3年)が2試合連続で初回に本塁打を放つなど打線で圧倒した。

 再び初回から「GO砲」が鳴った。クラークの後藤が1回、右翼へ先頭打者弾を放つと、岡田も左翼へ3ラン。2人の初回アベック弾は、16日の帯広柏葉戦に続く出来事。2戦連続先頭弾の後藤は「人生初めてです」と白い歯がこぼれた。

 リプレーのようだった。2日前の後藤の1発も右方向なら、岡田の満塁弾は左方向へ。この日と同じ放物線を、旭川スタルヒンの空にかけていた。ベンチで岡田の再現弾を見た後藤は「びっくりです」と驚いた。

 2人の結束は固い。3月の栃木遠征では、宿泊先で夜中にバットを振る岡田に、道具磨きをしていた後藤がアドバイスを送った。「右足に体重を乗せて、左足にぶつけるように。俺もそうしてる」。絆は自然と深まっていった。

 後藤は転校生だった。愛知・一宮西成中を卒業後、京都・龍谷大平安に進学したが、環境になじめず、1年夏前に中退した。そんなときに甲子園のテレビ中継で見たのが、のびのびとプレーするクラークナインの姿だ。「みんな明るくて、ベンチの雰囲気がすごくいいな」。同年9月に編入。野球部に入部すると、先輩たちも親しく接してくれた。「仲間に入れてくれてうれしかった」と振り返る。

 あのときテレビで見た、憧れの場所に近づいている。故郷愛知の両親へは「勝利をつかんで、甲子園に行って、恩返ししたい。甲子園で元気でやってるよという姿を見せたい」。岡田も「もう1回、新たな気持ちで勝ちをつかみにいきたいです」。2人の前にある階段は、あと2つだ。【山崎純一】