第100回の夏に「主役」が帰ってくる。春夏の甲子園連覇を目指す大阪桐蔭(北大阪)が23-2で大院大高に大勝した。6回には11者連続安打、1イニング13得点を記録する猛攻。1985年(昭60)に清原和博、桑田真澄の「KK」を擁したPL学園などがマークしていた大阪大会決勝最多得点を更新する歴史的Vを飾った。

 約28分の猛攻は、大阪桐蔭から1つのアウトを取る難しさが凝縮された攻撃だった。8点リードの6回2死二塁、1番宮崎仁斗外野手(3年)が左前適時打。四球を挟んで3番中川卓也内野手(3年)が右翼線へ2点二塁打を放つと、打線に火がついた。ドラフト1位候補の4番藤原恭大外野手(3年)が豪快に右翼へ高校通算29号2ランだ。

 藤原 先っぽだったんですけど、風があったんでいってくれるだろうと思いました。

 再び藤原が2度目の打席を迎え、中前適時打を放つまで11打者連続安打。四球を挟めば12打数連続安打と快音が響き続けた。この回だけで13得点。連打の途中、相手投手交代の際には相手捕手も審判も給水タイムを取る熱い攻撃だった。

 取りも取ったり23得点。あの清原、桑田の「KK」がいた85年PL学園などが刻んだ17得点の大阪決勝得点記録を大幅更新した。初回の先制劇はわずか3球。試合前、西谷浩一監督(48)から「最近は守りに入っている。1回から9回まで攻め続けよう」とハッパをかけられていた。

 藤原は7打数6安打6打点。自身初の6打席連続安打で、大会通算打率は6割3分6厘まで上昇。守備でも9回2死、中堅への大打球に猛ダッシュで追いつく美技で優勝を決めた。

 自他ともに認める負けず嫌い。練習中に根尾が大きな打球を飛ばせば、それよりも大きな打球を飛ばす。根尾の本塁打数も記憶し「今26本目やからな」と試合中にベンチで声を掛けたという。この日も「最後まで打ちたかった。まだまだ実力不足です」と満足する様子は一切ない。「高校1年生の時、黒いバットに替えたら打てるようになった」とラッキーカラーの黒の打撃用手袋をずっと着用し、打ち続けた男は言った。

 藤原 このバッティング以上のものを甲子園で打ちたい。

 史上初となる2度目の春夏連覇へ。センバツ王者がたくましさを増して帰ってくる。【磯綾乃】

 ◆地方大会決勝の大量得点 大阪桐蔭の23得点は戦後3位タイ。10年の仙台育英28-1気仙沼向洋、09年の帝京24-1雪谷に次ぎ、昨年の藤枝明誠23-10日大三島に並んだ。今夏の石川大会では星稜22-0金沢学院で22点差がついている。

 ◆大阪桐蔭 1983年(昭58)創立の私立校。生徒数は1986人(女子829人)。野球部は88年創部で部員数63人。甲子園出場は春10度、夏10度目。優勝は春3度、夏4度。主なOBは、日本ハム中田翔、阪神藤浪晋太郎ら。所在地は大東市中垣内3の1の1。今田悟校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦9-0四條畷

3回戦18-0常翔啓光学園

4回戦12-2常翔学園

準々決勝2-1金光大阪

準決勝6-4履正社

決勝23-2大院大高