高校野球の対外試合解禁(3月8日)まで、あと50日ほどになった。寒い冬、特に投手は故障防止のため、遠投などで徐々に肩を作る。「高校四天王」の1人、最速153キロ左腕・横浜(神奈川)の及川(およかわ)雅貴投手(2年)も遠投に励む日々だ。「そこでフォームを固めてから、ブルペン入りですね」と焦らずに1月を過ごす。

そんな今秋ドラフト上位候補左腕に、南から暖かな便りが届いた。沖縄市が3月9日、10日に横浜の招待試合を行うことが16日、分かった。2日間で市内4校とそれぞれ試合を行う。招待試合という目的から考えると、エース及川は9日の開幕戦(対美里工、コザしんきんスタジアム)での先発が有力。横浜の今季初戦でもある。

横浜は例年、対外試合解禁直後の試合を自校の長浜グラウンド(横浜市)で行う。3月の首都圏の平均気温は10度ほど。まだまだ寒い。一方で、沖縄の3月は20度に達する日もある。12球団スカウト陣も注目の「第1投」を、寒さを気にせずアピールするには好材料。夏の神奈川4連覇、全国優勝を目指すチームに弾みをつけるためにも大きい。

及川自身は「四天王に入れるレベルには達していません。まだまだ未完成です」と言う。星稜(石川)の奥川恭伸、大船渡(岩手)の佐々木朗希、創志学園(岡山)西純矢の3右腕と胸を張って並ぶには「安定感をつけたい。球の質を上げたい」と自覚する課題は多いようだ。

沖縄市招待試合を皮切りに、7月までに強豪校との練習試合が数多く組まれる。今春センバツ出場の可能性もわずかに残る中、及川は以前から「見て学びたい。いろいろな学校、選手から刺激を受けたい」と目を輝かせていた。開放的な南国で白球に向き合う球児との戦いも、貴重な経験になるだろう。アートと音楽の街・コザから、夢へ駆け上がる。