第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日、大阪市内で開かれ、東北勢からは2校が選ばれた。秋季東北大会準優勝の盛岡大付(岩手)は2年ぶり5度目の出場を決めた。評判の強打線は、1日6食の食トレでさらにパワーアップ。2年前の8強を超える成績に、期待がかかる。東北大会を制した八戸学院光星(青森)も、3年ぶり10度目の出場を決めた。組み合わせ抽選会は3月15日に大阪市内で行われる。

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午後3時7分、校長室の電話が鳴った。そのとき盛岡大付ナインは、約4キロ離れた専用グラウンドで打撃練習に汗を流していた。関口清治監督(41)も「打撃を前面に出して、2年前の先輩を超えられたら」と勝負手に描く、打のチーム。長靴を履いて一面の銀世界で打ち込み、同40分過ぎ、関口監督からセンバツ出場の報告を聞いた。

昨秋は公式戦12試合で91点。今秋ドラフトの超目玉右腕、大船渡・佐々木朗希投手(2年)から7点奪って打ち崩すなど、1試合平均7・6点の強力打線で東北大会決勝まで勝ち上がった。だが平均的に線が細く、秋以降は肉体改造の一環として初めて「食トレ」に着手。1日3度の食事と、さらに3度の「間食」に努めた。関口監督の妻由可里さん(41)も1歳の三男をあやしながら調理場に入り、献立作りをサポート。エース左腕・阿部秀俊(2年)は「暇があれば、食べてました」と、体重は57キロから6キロ増に成功。「力を入れなくても、球がスッと伸びていく」と球威が磨かれた。関口監督は「甲子園球場に似合う体形に近づいてきた」と効果を実感した。

チームワークにも自信を持つ。現2年生から初めて、全員が野球部員だけの1クラスができた。関口監督は「学校から寮まで常に一緒で、お互いを分かり合える。一方で授業から集中を求められ、気が抜けない。ごまかしも利かない」。テストの平均点が学年トップになる相乗効果と、野球にも通じる連帯感が強まった。

2年前も打のチームを掲げて、春夏ともに甲子園8強入り。今年はまだ少ない方でも現在、グラウンドは10センチ弱の雪に覆われる。室内練習場がないため伝統的に外で打ち込むが、大船渡・佐々木攻略にも一役買った160キロ設定の打撃マシンも雪が多いと使えない。そのためセンバツ出場を見据え、まず27日から4泊の群馬合宿で1次のメンバー選考を行う。3月3日からは沖縄合宿、鹿児島と宮崎で実戦を積み、開幕直前は智弁学園、天理(ともに奈良)など甲子園常連校との練習試合で勝負勘を養う。主将の及川温大(あつひろ)内野手(2年)は「甲子園でも通用する体に仕上げて、『盛付』らしく、打撃で打ち勝つ野球をしたい」とまずは、関口監督に区切りの甲子園10勝目をプレゼントする。【中島正好】