万能2番打者のチャンスメークで、北海道勢4年ぶりの8強進出、72年ぶりの大分県勢討ちを狙う。第91回選抜高校野球(甲子園)で2回戦に進出した札幌大谷(北海道)は29日、第1試合で明豊(大分)と対戦する。2番釜萢(かまやち)大司二塁手(3年)は、1回戦米子東戦で4打数2安打、守備でも頭脳的なポジショニングで勝利に貢献した。チーム最高打率4割5分5厘を誇る巧打者が、攻守で流れを呼び込み勝利につなげる。

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釜萢が攻守でかき回し、チャンスをつくる。米子東戦では2安打を放ち、秋から13試合で44打数20安打。4割5分5厘と、さらに打率を上げた北の安打製造機は2回戦に向け「初戦は2安打できたが、3打席目で引っかけて凡打になったのが悔しい。次は10割を目指したい」と、完璧な打撃での勝利を目標に掲げた。

守備では打者の特徴を瞬時に察知し、安打を阻止する。初戦の5回1死一、二塁では、中前に抜けるかという打球をほぼ正面で捕球し併殺に仕留めた。「打者のスイングと1球ごとの配球を見てポジショニングを変えている」。その観察力を生かすためのスムーズな動作が土台にあり「最初の位置を少し後ろにすれば左右とも追いつける。下がった時の捕球時の遅れは、投げる準備をしながら捕球すればいい」。頭脳と運動能力をフル稼働させた美技を再び、聖地で披露する。

打率、守備力に加え学業も野球部で1番。運動部員が入れる最上のSコースに在籍し、クラス1位になったこともある。試験期間以外は家で勉強をしたことがなく「野球の練習時間を減らしたくないので、授業ですべて習得することを意識している」と言う。戦術理解力も抜群でバント、バスターなど小技から、強打まで何でもできる。1年春からレギュラーで起用している船尾隆広監督(47)は「つなぎ役にもポイントゲッターにもなれる。一番、いろいろなことができる選手」と期待した。

父弘幸さん(45)は元社会人野球NTT北海道の外野手で、都市対抗本大会にも出場した。初戦突破した24日夜には「打撃も調子良さそうだし次も頑張れ」とメールが届いた。道勢の対大分勢戦績は1勝5敗と鬼門。昭和最後の甲子園となった88年夏に札幌開成が津久見に惜敗して以来、31年ぶりの激突となる。平成最後の大会で雪辱し、8強の扉を開く。【永野高輔】