山梨学院があと1点及ばず、目標としていた2勝に届かなかった。

初回に左翼に入った相沢利俊投手(3年)が左前打で後逸するミスが重なり1点を失う。ただし初戦の山梨学院は、札幌第一相手に大会タイ記録の24安打を集め24ー5で大勝している。初回には8安打で10点を奪っており、先制は許したものの、1回裏の攻撃が注目された。

先頭の渡辺嵩馬外野手(3年)が中前打で出塁。2番は札幌第一戦で5打席連続安打で7打数5安打の菅野秀斗内野手(3年)。ワンボールからエンドランが成功して1死二塁。吉田洸二監督(49)は「形の上では送った格好で、すぐに野村のタイムリーが出たのですが、ベンチで采配を振っている内部からすれば、やっちまったなと。あの場面は、低めのボール球でした。あのまま冷静に選ばせていれば、四球でチャンスが広がる可能性もありました。それを、無理に打たせたことで、初回に3点くらいは入る流れを切ってしまった。俺で負けた、そういう場面でした」。

1回は1点止まりで、試合は膠着(こうちゃく)状態に入った。7回に筑陽学園に勝ち越しを許し、8回にも追加点を与えた。8回裏に1点を返し、最終回も2死満塁と追い詰めたが、届かず終戦。

吉田監督は序盤でのエンドランを好む。「最初にエンドランを仕掛けて、その日の運気を見るんです。はまれば運気はいい。うまくいかないときは、『今日は監督が動かない方がいい。手堅くセオリーに従って』と、気持ちを切り替えるんです」。その法則に従い、初回に運気を探ったとしたら、初回のエンドランはいろんな意味で分析する必要がある。監督の言葉通りに本当に「俺で負けた」試合だったのか、チャンスをつくりながら、あと1本を詰められなかった打線に課題が残るのか。巧打・菅野、主砲・野村健太外野手(3年)、そしてチームの柱・相沢がいるだけに、この敗戦を生かせば夏は勝負強いチームに生まれ変わる可能性を残した。