習志野が3試合連続の逆転で明豊に勝ち、初の決勝進出を果たした。3-3で迎えた8回、4番桜井亨佑内野手(2年)が高めのボール球を豪快に右翼席へ。勝ち越しのソロ本塁打で勝利に導いた。東邦は7回2死一、二塁、吉納翼外野手(2年)が決勝の3ラン。夏2度Vの古豪と平成最初のセンバツ王者が3日、平成最後のセンバツの頂点を争う。

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ここ一番に強い4番を、ひと振りで証明した。8回カウント2-1から、桜井が振り抜いた打球は右翼席へ吸い込まれた。一塁をまわり打球を見届けるとガッツポーズ。「チームが苦しい時に流れを変えられるのが僕の役目」。目指していた4番像を大舞台で体現した。「ボールは高かったけど体が反応した」と通算7本目を初めて甲子園で放ち、笑顔を見せた。

甲子園出発時には、母典代さん(52)に「甲子園1号は俺が打つ!」とLINEメッセージを送っていたが、打ちたい気持ちと焦りから不調に。体が開き内角球に詰まっていた。初戦後、フォームを修正。足の上げ方を低くし、コンパクトな打撃を意識した。1日には小林徹監督(56)に「そんなに悪くない。何とかしようと思わずにやればいい」と声をかけられ肩の力が抜けた。積み重ねが値千金の一打を生んだ。

これまでも、ひたむきな練習が結果につながった。入学時は、周りの選手のレベルの高さに圧倒された。「ここで勝ち残るには練習しかない」。桜井を支えたのは、小6時、ロッテジュニアで指導を受けた武藤一邦監督の教えだった。「バットを振る時間がなくても握っていなさい」。練習以外でもバットを握り感触をつかむ。昨年5、6月は朝5時30分に起きて1人で黙々と素振りを続け、新チームからチャンスを得た。

12年大阪桐蔭の春夏連覇を見て甲子園に憧れた。今、同じ舞台に立ち躍動している。「優勝するイメージはできています」と宣言。シャイな男が内に秘めた熱い思いを爆発させ、千葉県に春初めての優勝旗を運ぶ。【保坂淑子】

○…習志野・飯塚は守護神として堂々とマウンドに立った。7回、同点に追いつくとその裏から登板。最初の打者を左前打で塁に出すも、犠打を許さない。好フィールディングでピンチを切り抜け、8回の逆転劇へつなげた。強気にストライクゾーンで勝負し「2点まではいいという気持ちで投げた」と3回1失点。9回には自己最速の147キロも計測した。

シニア、ボーイズの出身選手がそろう中で、飯塚は軟式野球部出身。しかも3番手投手だった。習志野に入学直後は体作り中心の厳しい練習で、自宅に帰ると夕食前に風呂で寝てしまうことも。80キロあった体重は、秋には67キロに。しかし、厳しい練習に耐え抜くと、たくましく成長。1年秋にはスピードが増してベンチ入り。決してあきらめない。不屈の精神が宿る。「ここまできたら狙うはひとつです」と飯塚。頂点をしっかりと見据えた。

◆習志野・小林監督(決勝戦を前にして)「個の力ではかなわない。明日も今まで通りのびのびと束になって戦いたい」