福岡大会は3年ぶり8度目の甲子園出場を目指す九州国際大付が、9-2の7回コールドで古賀竟成館を下し、初戦の2回戦を突破した。

プロ注目の最速149キロ右腕、下村海翔(かいと)投手(3年)が4回無安打無失点、5奪三振の快投。自慢の真っすぐと2種類のスライダーなど、多彩な変化球で翻弄(ほんろう)し、日本ハムや広島など視察したプロ5球団の評価を高めた。

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プロ注目の福岡NO・1右腕、下村が力強い投球で初戦突破を導いた。先発で4回を投げ、5奪三振で無安打無失点。「リズムに乗れ、いいテンポで投げられる」と、今春から取り入れたワインドアップから投げ下ろす直球を軸にグイグイ押した。この日の最速は144キロながら「最近では一番いい感触の直球で、伸びとキレは球速以上のものがあった」と手応え十分だ。

この日は部長クラスら4人体制の日本ハムをはじめ広島、ヤクルト、中日、ロッテの5球団スカウトが視察。広島末永スカウトは「春から見ていて安定感がある。直球の球威がもっと上がれば楽しみ。指先が器用でいろんな球が投げられる」と目を細めた。カウント取りに行く時と、三振を狙う時で使い分ける2種類のスライダーの制球やキレも格段に精度アップ。進化を遂げた“ニュー下村”も披露した。

リベンジの夏だ。昨春は九州王者に上り詰めた。だが夏は2回戦で公立の若松に敗退。9回途中から緊急救援したが流れを止められずに4点差を逆転される無念を味わった。「中川主将を中心に、去年のことがあるので油断せず初戦から自分たちの野球で圧倒しようと話してきました」。気合十分で臨んだ初戦だった。

強豪ひしめく福岡はこれからが本当の戦いだ。昨秋は福岡大会決勝で、後に九州大会を制してセンバツ8強に進出した筑陽学園に惜敗。今春も同準々決勝で九州大会優勝の西日本短大付に競り負けた。だがこの日の快勝で最高の弾みがついた。3年ぶりの甲子園は下村が導く意気込みだ。【菊川光一】

◆下村海翔(しもむら・かいと)2002年(平14)3月27日生まれ、兵庫・西宮市出身。小3で軟式野球を始め、甲武中では宝塚ボーイズに所属。九州国際大付では1年秋からベンチ入りし、2年春からエース。今年3月の練習試合で自己最速149キロを記録。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップ、フォーク。目標とする選手はヤンキース田中将大。右投げ右打ち。176センチ、76キロ。