秋田大会では第5シード角館が延長10回、3-2で第4シード湯沢翔北に逆転勝ちで4強入りした。

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角館が2試合連続の延長戦を制し、3年ぶりの4強を決めた。右足腓骨(ひこつ)骨折から復活した鈴木勇樹投手(3年)が10回2失点で完投。決勝打も放ち、春の県大会4強の湯沢翔北に競り勝った。

ベンチ入りも危うかった男が力投した。鈴木は「先発はびっくりしたが、最後の夏なので気合を入れた。恩返しを込めて投げた」。7回までに許した安打は本塁打1本のみ。最終回は2-1でリードし、2死までたどり着くも同点打を浴びた。「勝ちが見えて最後の最後で早まってしまった」。続く10回のチャンスで打席が回ると、上からたたいてフルスイング。決勝の中越え三塁打を放った。「自分が点を取られたので、打席で貢献したかった」と笑った。

4月の練習試合で投直が右足に直撃し骨折した。「ショックや焦り、間に合わないかもしれないと思った」。投球練習は6月半ばから開始し、同時期の青森山田との練習試合で登板したが打ち込まれた。それでも夏のメンバーに入り、16日は延長13回に及ぶ激闘の金足農戦で2回1/3を投げた。湯沢淳監督(43)は「苦しい展開の中、鈴木が粘ってくれた。カナノウのパワーをもらったような試合」と振り返った。

鈴木の帽子のつばには「挑戦者」「平常心」「最高の仲間に感謝」の3つの言葉が書いてある。次戦は春にサヨナラ負けを喫した第1シード明桜戦。仲間を信じ、自分を信じ、挑戦者としてリベンジを誓う。【山田愛斗】