日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)が8日、甲子園大会を2日連続で視察し、智弁和歌山のプロ注目捕手、東妻純平(3年)の高い守備力に着眼した。

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東妻は目に見えない貢献度の高さを持った捕手になれる。昔、谷繁さんに「いい捕手はセンターカメラからの視界を、捕手側から逆に写せる」と言われた。視野の広さが捕手という特殊ポジションで不可欠だ。

4回2死一、三塁のピンチで3ボール。5番打者とはいえ、振ってくる可能性が低い中で直球でストライクを奪いたくなるが、スライダーを要求した。投手のその日の一番ストライクが取りやすい球種を冷静に選択していた。全体指示も細かく、広く見渡していた。

キャッチングも良く、フレーミングと呼ばれる際どいゾーンをストライクに見せる技術もある。メジャーでも近年、評価が見直されている。予算の限られていたパイレーツが12年オフにフレーミングのデータが高かったマーティンを補強の1番手で獲得。目立たないデータだが投手の能力を増幅させ、21年ぶりのプレーオフ進出に貢献した。

肩はそこまで強くはないが、捕球直前から送球の体勢に構え、捕ってからの握りかえも素早く、トップが頭の後ろに入り、無駄がない。ロッテの田村も同タイプで、強肩ではないが盗塁阻止率は高い。

プロの監督にとって守備力のある選手は使いやすい。まずは守備固めでも使えると出場機会が増える。打撃は腕の使い方に硬さがあり、まだ磨かなければならない。それでも古田さんや甲斐のように守って試合に出る中で打撃をつかむ捕手もいる。172センチ、74キロと大きくはないが、スピード型の捕手は今のトレンドで目に見えないプラスアルファをもたらせる存在だ。