同点に追いつかれ延長に入っても、作新学院は攻めの姿勢を崩さなかった。「すぐ攻めよう」と小針崇宏監督(36)は選手たちを10回表の攻撃に送り出した。

一塁には左前打で出塁した福田真夢外野手(3年)。小針監督からの盗塁のサインに福田は「日ごろから練習していること。迷いはなかった」と初球で二塁へ。さらにヒットエンドランのサイン。「何度も練習してきたことで想定内」と2-2のカウントから好スタートで、打者が空振り三振しても、三塁へヘッドスライディングでセーフを勝ち取った。続く中島は「福田の三盗で振りにいけた」と一、二塁間を抜ける適時打。福田が本塁を駆け抜け勝ち越した。

延長に入り、1プレーが勝敗を左右する場面で流れを引き寄せる三盗になった。福田は「自信がないとやりませんから」と言い切った。昨年、栃木大会の打順は1番も、甲子園では代打出場。「試合に出たい思いが頑張る原動力になった」と振り返る。

打撃とともに力を入れたのは走塁。参考にしたのは2歳上の先輩・鈴木萌斗選手(早大・2年)だった。「いくぞという雰囲気を出して、スタートを切る動きをまねました」。走塁の技術を上げ、今大会は1番へ復帰。出塁すると歩幅を微妙に調整。投手へプレッシャーをかけ盗塁を成功させた。小針監督も「悔しさを乗り越えたくましくなった」と目を細めた。

16年全国制覇以来の夏1勝だ。福田は「次は投手陣を楽にさせる攻撃をしたい」と泥だらけのユニホームでニッコリ笑った。【保坂淑子】

▽作新学院OBの日本ハム石井(石井主将の兄)「さすが作新。粘り強い野球を見られました。(弟には)昨日『思い切ってやれ』と連絡しました。内角を攻められていたけど、自分のスイングをしてくれれば」