なぜか、甲子園球児がよく生まれる市区町村がある－。膨大なデータから、全国1896自治体の「輩出指数」が明らかになった。

「過去25年の夏の甲子園出場約2万1000人の出身市区町村と、その考察」と題し、データを完全公開する。

出場条件が比較的均質な夏の大会に限定した。高い数値を示す市区町村は、地域全体の野球熱が高いのか。食文化の影響か。それとも“たまたま”なのか。解析や想像は皆さまに委ねたい。今も全国津々浦々で「1」への思いを募らせる球児たちに敬意を表しつつ、47都道府県の軌跡をお届けする。【調査・分析＝金子真仁】

　　◇　　　　◇　　　　◇

◆対象　95～19年の25年間の夏の甲子園出場者。人数表記は「のべ」。

◆方法　球児が各媒体に公開した「出身中学」の在籍自治体で分類。今回の企画では「地元」がより明確になる公立中のみを市区町村で分類し、国立・私立中出身者は参考数として合計人数を掲載した。

◆人口　総務省発表の「平成31年度住民基本台帳に基づく人口」。

◆輩出指数　「各自治体からの出場人数」を「15～19歳男子人口×25年×0・6（15歳と19歳を除くため）」で割り、10万を掛けたもの。数値が高いほど、人口比の輩出率が高くなる。

 

【兵庫県】甲子園球場のお膝元からは、25年間で895人が夏の甲子園に出場した。大阪府に大差をつけられたものの、全国第2位となる。

地元・西宮市からは52人が近くて遠い聖地に到達。人口比では隣の尼崎市からが、より甲子園に近かったようだ。伊丹市や宝塚市、神戸市も含めて高い数値が並ぶ中で、芦屋市の「2人」は気になる。私立中の数字ともリンクするのだろうか。

神戸市から西も明石市、加古川市、高砂市、姫路市とさすがの数字が並ぶ。阪神近本らプロ野球選手が増えて注目の淡路島からも、3市から満遍なく甲子園球児が生まれている。

内陸では、難読で有名な宍粟（しそう）市からの18人などが目立つ。今秋ドラフトで上位候補となる明石商・中森投手は丹波篠山市の出身だ。

神戸圏からは遠い日本海側でも、豊岡市などから安定した輩出がある。彼らは鳥取市の高校からの甲子園出場ケースが多い。

＜兵庫県25年間の夏の出場校＞

◆神戸市中央区＝神港学園2

◆神戸市長田区＝育英1

◆神戸市垂水区＝神戸国際大付2

◆神戸市西区＝滝川二3

◆尼崎市＝尼崎北1、市尼崎1

◆西宮市＝報徳学園8、関西学院1

◆明石市＝明石商2

◆加古川市＝加古川北1

◆姫路市＝東洋大姫路4、姫路工1

◆西脇市＝西脇工1

※校名直後の数字は出場回数