第1シード鶴岡東が9-4の逆転で東海大山形を下し、夏の頂点に立った。1-1の3回表1死二、三塁、主将で4番鈴木喬外野手(3年)が勝ち越しの中犠飛。続く背番号1の太田陽都外野手(3年)の適時二塁打などで追加点を奪った。チーム打率4割超の強力打線は13安打で9得点。昨秋の新チーム結成から県内公式戦負けなしを守り、今日2日が誕生日の佐藤俊監督(49)に1日早いプレゼントを贈った。山形代表で9日からの東北大会(宮城・石巻市民球場)に出場し、16日の甲子園交流試合では第3試合で日本航空石川と対戦する。

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5点リードの最終回2死三塁。鋭い打球が中堅を襲った。「自分のところに飛んでこい」と待っていた鶴岡東・野川大輔外野手(3年)が、フェンス際まで舞い上がったウイニングボールを好捕。マウンドに走りだして喜びを分かち合う瞬間だが、ナインは淡々と整列した。余韻に浸ることなく校歌を静聴する姿は、県内公式戦を21連勝とした「王者」の風格だった。佐藤監督は「(選手は)落ち着いて準備をしっかりしてくれた。今日が最後という感覚はなかったので」と「通過点」に冷静だった。

先制されても、昨秋の公式戦チーム打率は4割2分、今夏も準決勝まで4戦47安打54得点の強力打線は簡単に流れを渡さない。3回は2死球から犠打で好機を広げ、鈴木主将が「内野は前進守備。いろんなケースを考えながら、とにかく次につなぐ意識だった」と変化球を中犠飛にして勝ち越し。続く太田も同様に「つなぐ意識で、力を抜いてタイミングを合わせた」と、右への適時二塁打で差を広げた。前日7月31日夜、2年連続で夏の甲子園に出場したOBの兄海都さん(富士大4年)から連絡をもらったが、大一番に備えて就寝したため翌朝に返信。激励を受けた弟陽都は3安打2打点で優勝に貢献した。

決勝でも2ケタ安打で攻撃の手を緩めなかった。チーム打率は昨秋を上回る4割2分9厘。1日早い誕生日プレゼントをもらった佐藤監督は「去年の夏は甲子園練習をしていた。今年も優勝してくれてうれしい」と笑顔。鈴木主将も「監督の誕生日が明日で、優勝できてうれしい。(部員とは)最後までやりきろうという気持ちで臨めた」と特別な1勝に満足した。

鶴商学園だった1979年(昭54)以来、41年ぶりのセンバツ出場を決めた今年は現校名になって満20周年。佐藤監督は「残すは東北大会と交流試合のみ。いいプレーを見せられるよう、選手たちには頑張ってほしい」。東北大会では現チームが唯一公式戦で敗れた仙台育英に雪辱し、聖地でも「ツルトウ」の名を浸透させる。【相沢孔志】