北北海道大会は6日、1回戦3試合が行われ、クラークが甲子園高校野球交流試合(8月10日開幕)に出場する昨秋全道王者、明治神宮大会4強の白樺学園を8-6で破った。初回に菊地飛翔(つばさ)左翼手(3年)がバックスクリーンへ2ランを放つなど、最速148キロの白樺学園エース片山楽生(3年)を2回途中5失点で降板させた。旭川龍谷は、同じく甲子園交流試合に出場する帯広農を6-5で下した。

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昨秋から道内公式戦9連勝中の全道王者に土をつけた。1点リードの初回2死二塁、5番菊地は、片山の4球目、145キロの鋭い直球を見逃した。「すごく速かった」。プロ注目右腕の圧力にもめげず、3ボール2ストライクのあとの、6球目に反応した。「ライトが右寄りに動いた。内に来る」。読み通り内角に入った143キロ直球を、迷わず振り抜いた。「手応えは完璧。打った瞬間、行くと分かった」。バックスクリーンへの高校通算14号、公式戦1号2ランが、チームに流れを引き寄せた。

序盤の猛ラッシュで、好投手をマウンドから引きずり降ろした。初回に3点を奪うと、2回も3安打に相手失策も絡み2点。片山を1回1/35失点で降板させた。だが王者の打線は黙っていない。6回表まで8点リードも、その裏3点、7回に2点を失い3点差に迫られた。野坂主将がマウンドのエース浦崎に「後ろに俺たちがいる。内野ゴロでも1アウト。カウント有利ならボールでもいいぞ」と声をかける。支え合ってつかんだ大きな1勝の瞬間、全員で雄たけびを上げ、喜んだ。

昨秋は地区代表決定戦で滝川西に敗れ、全道大会にすら出られなかった。春の大会は中止、夏の甲子園もなくなった。悔しさを晴らすための独自大会。北大会初戦の相手は、自分たちのこれまでの成果を試すには、絶好の相手だった。片山対策として打撃マシンを135キロ前後に設定し、さらにマウンドから2~3メートル前に置き、打ち込んだ。菊地は「体感速度は150キロぐらい。やってきたことを出せば好投手からも打てるという自負はあった」。聖地に行く相手、そして道内屈指の右腕を打ち破ることで、自分たちの誇りを示した。

まだ終わりじゃない。菊地は「1戦必勝。ただそのことだけを考えている」。王者を打ち破ってもおごりはない。目の前の敵をひたむきに倒し続け、特別な夏のてっぺんに立つまで、気は緩めない。【永野高輔】

クラークの佐々木啓司監督(64) 菊地の1発はみんなを勇気づけたね。片山投手は球速だけでなく変化球も良く、内外をうまく投げ分けていた。良く打った。打ち勝ったし、ギリギリでよく守った。