昌平が春日部共栄を破って、決勝進出と初の秋季関東大会進出を決めた。

黒坂洋介監督(45)「うれしいを通り越してびっくりです」と勝利の味をかみしめた。夏の独自大会で準優勝を果たした勢いのまま勝ち進んできた。花咲徳栄、浦和学院、春日部共栄、聖望学園…。近年の埼玉では私学4強が目立つが、一大勢力に食い込みつつある。

来秋のドラフト候補に挙がる吉野創士外野手(2年)は3打数1安打。高校通算35本塁打を誇るスラッガーの1発こそ出なかったが、周りの選手たちが奮い立った。

4番の古賀智己外野手(2年)が、3回2死一塁で左翼へ2ランを放って先制。先発した背番号18の吉川優一朗投手(1年)は、8回3安打1失点と試合を作った。指揮官は「吉川は球に力があるし、物おじせずにガンガンいくタイプ。古賀も大一番で力も発揮してくれました」とたたえた。

黒坂監督は現役時代、シダックスでプレーし、野村克也監督(故人)から指導を受けた。人間力の育成、カウント別の待ち球…ID野球を受け継ぎ、選手を鍛えて着々と力をつけてきた。

「先輩たちが勝つ姿を見せてくれ、それをまじまじと見てきた。歴史を塗り替えてくれたので、さらに塗り替えようとやってきてくれた」と目を細めた。夏の躍進が後輩たちにも刺激になった。この秋の活躍もさらに後輩たちへと良い影響を及ぼす。そうして強さが継続していく。

「ここまで来たらもちろん優勝したいですし、埼玉を代表して行くわけですから、いい試合をして関東大会に臨みたい」。“ノムラの考え”を受け継ぐ昌平が歴史を塗り替え、初のセンバツ出場を目指す。【湯本勝大】