福岡大大濠が甲子園でリベンジを果たした。昨秋九州大会決勝の再現となった大崎(長崎)戦で、エース毛利海大(かいと=3年)が4安打10奪三振1失点と好投し、春夏通じて4年ぶりの勝利。大崎に敗れた昨秋は、疲労の蓄積などで登板機会がなかったが、「借りを返そう」と臨んだ試合でエースの仕事をした。人口約5000人の長崎・大島から初出場の大崎は、1点及ばず。明豊(大分)は11回の激闘をサヨナラで制し、21世紀枠の具志川商(沖縄)も初戦を突破した。

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長崎県営の借りを、甲子園で返した。

毛利 甲子園でリベンジできてよかったかなと思います。

4安打10奪三振1失点完投勝利。直球にカーブ、チェンジアップ、ツーシームなど多彩な変化球で緩急をつけ、大崎を圧倒した。

唯一、最大のピンチは2点リードの7回。大崎打線に3安打を浴びた。2死一、二塁で相手エースの坂本に直球を捉えられ、中前に運ばれて1点を失った。

毛利 本当は(捕手の)川上がチェンジアップを要求していたのに、自分が強気で真っすぐに切り替えてしまったんです。

なおも2死一、二塁。マウンドに走ってきた川上に「首振ってごめん」と謝った。女房役は「まだ1点(のリードが)あるから、思いきっていこう」と励ましてくれた。離塁の大きかった二塁走者をけん制で刺し、ピンチの芽をつんでくれた。「本当に頼れる」と感謝し、8回は3者連続三振で流れを引き戻した。

如水館(広島)の二塁手だった父貴博さん(42)の考えで、3歳のとき、右投げを左投げに変えた。

貴博さん ぼくの中学時代のチームメートに、左投げの佐竹といういい投手がいた。それで左投げにしたかったんです。

広島、楽天でワンポイント救援などで活躍した佐竹健太(42)だ。その衝撃が忘れられず、貴博さんは息子が小学3年で本格的に野球を始める6年も前から、まず軟らかいボールを投げさせ、左投げに変えた。

父の決断は、息子の努力で「先見の明」になった。

毛利 お手本にしている投手が(楽天)早川さん。体重移動のやり方だったりをまねして、低めへの制球力は生まれてきました。

指導者にも恵まれた。八木啓伸監督(43)は「それぞれのよさがある」という視点で個性を大事にし、オリックス1位の山下舜平大(18)らを育ててきた。今年のエースは、学校4年ぶりの甲子園勝利投手になった。【堀まどか】

◆毛利海大(もうり・かいと)2003年(平15)9月14日、福岡・田川市生まれ。野球は小2から伊田レッドスターで始め、小6でソフトバンクホークスジュニア選出。伊田中では「鷹羽ボーイズ」でプレー。同3年でボーイズリーグ日本代表。福岡大大濠では1年夏からベンチ入りし新チームからエース。変化球の持ち球はツーシーム、カーブ、スライダー、チェンジアップ。左投げ左打ち。176センチ、75キロ。

 

○…8番の松尾が、チームの全2得点をたたき出した。敵失や四球でつくった2回の先制機で、相手エース坂本の直球を中前に運ぶ2点打。本来は4番の松尾は「(打順が下がったのは)最初は悔しかったけど、下位にいて上位打線がかえせなかった走者をかえすのが自分の役割だと思っています」。9回は中堅の守備位置で、ウイニングボールをつかんだ。

▽福岡大大濠・友納(2安打の活躍に)「(相手の坂本投手は)低めのスライダーがいいと聞いていたので、そこをしっかりチームで打っていこうと。いい結果が出たのでよかったです」

▽福岡大大濠・川上(7回のピンチで二塁走者をけん制で刺し)「最初から(ランナーを)狙っていたわけではなくて、リードが少しでかくなったので、そこのスキをついて投げました」

 

◆昨秋の九州大会決勝VTR 大崎が5-1で福岡大大濠を下し初優勝した。ともにエースを先発させず、福岡大大濠は森本、大崎は勝本の1年生が登板。3回まで1-1で進んだが、大崎が4回2死二塁、9番山口内野手の右前適時打で勝ち越し。5回も1死満塁から押し出し四球、スクイズで2点を奪うなど、試合を優位に進めた。福岡大大濠は1回の先制ソロ以降、勝本の前に沈黙。森本の2回途中降板も響き、3投手のリレーも及ばなかった。