今秋ドラフト候補でノースアジア大明桜の最速153キロ右腕、風間球打(きゅうた、3年)が、ノーヒットノーランをあと1歩で逃した。9回に2安打を浴びて偉業はならずも、5球団のスカウトの前で自己最速タイの153キロをマーク。11奪三振で2試合連続完封を飾った。打者でも2安打2打点の「二刀流」で自身を援護した。チームは由利を4-0で破り、12度目の地区優勝。秋田工は新屋に9-2の8回コールドで県切符をつかんだ。

風間は大記録を逃しても、淡々とスコアボードに9つのゼロを刻んだ。8回まで2四球を出しながらも粘って無安打投球。しかし、9回、先頭を死球で歩かせると、後続に左前へ初安打を運ばれる。無死一、二塁となり、その後、2アウトを取ってから再び安打を浴びて満塁。相手打者は、好調の4番加納史也内野手(3年)を迎えた。「キャッチャーミットを目がけて思い切り投げました」。カウント3-2と苦しみながら、最後は二ゴロに封じて完封勝利を収めた。

ノーヒットノーランへの「欲」はあった。「7回ぐらいから意識していた」と言い、「できれば今日、やりたかったですけど、実力的にはまだまだ。次の大会でできれば」と前を向く。輿石重弘監督(57)は、風間の2戦連続完封について「安心して見てられました。投げるたびに成長、進化しているなという印象です」と賛辞を贈った。

風間は2回、先頭への2球目で自己最速に並ぶ153キロを投じた。「自分は球速があまり分からなかったですけど、(153キロが)出たということはしっかり腕を振れたということ。打者に立ち向かっていけたと思う」。この試合の150キロ台は計6球(150キロ3球、151キロ2球、153キロ1球)。そのうち2球は9回に計測した。

打者風間が投手風間を救った。1-0の6回1死一、二塁。カウント2-1から中越えへ2点適時二塁打を運んだ。自らのバットで3点差に広げ、「マウンドでは気楽に投げられた」。少年時代から憧れるエンゼルス大谷翔平のように「二刀流」で輝いた。

地区大会3試合で計23イニング無失点だった。県大会に向けて「強いチームばかりなので、無失点に抑えて、打者を援護したい」。さらに「春に155キロを出すのが自分の目標」と力強く宣言。驚異の成長スピードで剛腕をさらに磨いていく。【山田愛斗】