快勝発進だ! 花巻東が13安打13得点の猛攻で、盛岡市立に5回コールド勝ちを決めた。右ひざ打撲で地区予選はメンバーを外れた相野七音(なおと)主将(3年)が「5番中堅」で実戦復帰。2打数1安打1打点と早速結果を残した。盛岡工は大東に5-3で競り勝ち、初戦を突破した。9回1死から緊急登板した2年生右腕・川崎翔大が、気迫のある投球でリードを守り切った。

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頼れる主将が戻ってきた。4月の練習試合でヘッドスライディングした際に、右ひざ打撲で戦列を離れていた相野が「5番」で復帰。1点リードの1回1死一、三塁。カウント0-1からの2球目を流し打ち。右前へ落ちる適時打で追加点を挙げた。「自分がけがをしてチームに迷惑をかけた。県大会では1番結果を残して、恩返ししないといけない」と人一倍強い思いをバットに込めた。

けがの期間があったからこそ気づくことがあった。「チームを客観的に見ることができた」。練習中の雰囲気、選手同士でかけ合う声の内容。気になったことはノートに書き込んだ。「練習に緊張感がなかったり、行動が遅かったり、別の視点だからこそ見えた課題があった」。思ったことはミーティングで仲間に伝えた。自らは上半身を使ったウエートトレーニング、椅子に座ってのティー打撃で汗を流した。主将として、チームと向き合いながら、スキルアップにも励んだ。

下級生の存在が大きな刺激になっている。この試合では、佐々木洋監督(45)の息子、麟太郎内野手(1年)が“公式戦初安打”をマークするなど、1年生3人が「H」ランプをともした。4回には、八木駿太朗(2年)が代打本塁打を放つなど、ベンチ入り20人中13人が1、2年生だ。相野は「(下級生の活躍が)刺激になっている。3年生も負けられないし、チームの底上げにもなる」。学年関係なく、切磋琢磨(せっさたくま)していく。

目指すは春と夏の岩手王者だ。次戦は16日、平舘と対戦する。「優勝して夏は第1シードで臨みたい。課題を1つ1つなくしながら、春の県大会を勝ち進んでいく」と意気込んだ。花巻東ナインが夏に向けて、着実に歩みを進める。【佐藤究】