花巻東が9-3で一関学院に快勝し、春の県4強入りを決めた。佐々木洋監督(45)の長男、麟太郎内野手(1年)が「2番一塁」で先発出場。2戦連発となる先制ソロを含む、2安打2打点の活躍だった。

豪快な一発をかっ飛ばした。0-0の1回1死。佐々木麟が左打席に入った。カウント1-1からの2球目。真ん中直球をしばきあげ、打球は一直線に右翼芝生席へ突き刺さった。「自分のバッティングの持ち味でもあるフルスイングで、チームに流れを持ってこようと思っていた」。悠々とダイヤモンドを一周し、笑顔でベンチに戻った。

“ルーキー”とは思えない。前戦の16日平舘戦では2打席連続アーチを放ち、2試合をまたいでの3打席連続弾となった。中学時代は同校OBでエンゼルス大谷翔平投手(26)の父徹さんが監督を務める、金ケ崎リトルシニアでプレー。4番打者として活躍したが、「高校になると球速も上がるので、スピードに慣れなかった」と話し、「先輩方のおかげもあって、打席数を多くしてもらって、段々対応できるようになってきた」と感謝した。

メジャーの強打者を参考にする。「自分はセンスがないので、モノマネをするようになった」。お手本にするのが、メジャー歴代最多の通算762本塁打を記録したバリーボンズだ。タイミングの取り方、バットのフォロースルーを参考にしている。「自分に合っている打ち方だと思う」。本家同様に183センチ、117キロと規格外の体格で長打力が最大の武器だ。

幼少期からの夢だった。「小さい頃から(花巻東は)見ていた。このチームで活躍したいとずっと思っていた」。グラウンドでは指揮官との親子に対する意識はない。自らの意思を貫いて、入学を決意した。「チームのために打つ気持ちで、3年間やっていきたい」。チームスローガンは「岩手から日本一」。麟太郎の挑戦は、まだまだ序章にすぎない。【佐藤究】