昨秋の県王者に逆転勝ちし決勝に駒を進めた。学法石川が5-4で東日本国際大昌平を撃破。先発したエース右腕、高橋兵庫介(3年)が9回を9安打4失点で2試合連続の完投勝ち。3回以降は変化球主体の組み立てで、4安打1失点と堂々の投球を披露した。昨夏の福島県独自大会覇者、聖光学院は1-0で磐城に競り勝った。先発した背番号10の五十嵐蓮投手(3年)が、4安打無四死球の快投で人生初完封を飾った。

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狙い澄ました幕切れを演じた。1点差に迫られた、9回2死一塁。高橋は「代走が出て、足を絡めてくるチームなので、警戒はしていた」とけん制を欠かさなかった。カウント1-1からの3度目のけん制で一走を仕留めてゲームセット。2時間26分の熱戦にピリオドを打ち、雄たけびを上げた。「熱くなると声が出てしまう。(一塁ランナーの)リードが大きかったので、刺せると思った。本当にうれしかった」と笑顔で振り返った。

修正能力の高さを示した。2回までで3失点も、3回以降は4安打無四死球、1失点の好投だった。キレのあるカーブ、スライダーを軸に投げ込んだ。奪った三振はわずか2。内外角を使いながら、テンポ良く打たせて取った。「コーナーに投げ分けられて、変化球でもカウントが取れた」と今後にもつながる、大きな収穫を手に入れた。

昨秋は背番号10。今春からエースナンバーを背負い、マウンドに立つ。高橋は堂々と言う。

「エースはピンチの場面でも失点しないで、完投して当たり前だと思っている。一試合でも多く投げて、成長していきたい」

登板前のルーティーンもエース仕様だ。ベンチからマウンドに向かう際、一塁線は必ず右足からまたぐ。ピンチの場面では、大きく深呼吸し気持ちを整える。オリックス山岡泰輔投手(25)を参考に“儀式”を取り入れた。高橋は「することによって、グッと集中できる」と効果を実感。前戦の日大東北戦(7回コールド)に続く、2試合連続完投勝ちを決めた。

春決勝の舞台は整った。相手は夏14連覇中の絶対王者・聖光学院だ。「福島では圧倒的な強さを誇っていますし、一筋縄ではいかない。楽しみながら、やっていきたい」と意気込んだ。春の大一番を制し、最後の夏につなげる。【佐藤究】