昨夏の福島県独自大会覇者、聖光学院は1-0で磐城に競り勝った。先発した背番号10の五十嵐蓮投手(3年)が、4安打無四死球で人生初完封を飾った。

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堂々のマウンド上だった。野球を始めて12年。五十嵐が“人生初完封”を決めた。9回2死。最後の打者を直球で遊ゴロに仕留めた。100球の完封劇。淡々と右腕を降り続けてきた背番号10は、グラブをポンとたたいて整列に向かった。「やってやろうという気持ちで投げた。うれしい気持ちはあるんですけど、次があるので、しっかり次に向けてやっていく」と勝ってかぶとの緒を締めた。

悔しさを糧にした。昨秋の県大会2回戦。東日本国際大昌平に6-7で敗れ、涙を流した。「自分の暴投で負けてしまった。誰よりも意識を高く持ちながら、この冬は取り組んだ」。今冬は走り込み、投げ込みを重点的に行い、変化球の精度にこだわった。「球が遅いので、タイミングを外す変化球を磨いた」。最速135キロ直球に緩急を使った投球を身につけた。斎藤智也監督(57)は「どこまで持つかなと思っていたけど、よく踏ん張ってくれたのが大きな収穫。軸とはまだ言えないけど、信頼は1回り上がった」とたたえた。

一方の打線は1回1死三塁から坂本寅泰(ともやす)外野手(3年)が放った中犠飛のみの得点だった。指揮官は「打線は梅雨入りしたんでしょうかね。今、全然当たらないですね。打線が上がってくるのを待つしかないですね」。2大会ぶりの(昨年は中止)春制覇へ、攻撃陣の奮起を期待した。