4番がバットで輝いた。89年以来3度目の甲子園出場を狙う盛岡三が、春夏計6度出場の専大北上に逆転勝ちした。及川陽貴(はるき)内野手(3年)が1点を追う3回に同点ソロを放つなど、4打数4安打2打点で奮起。過去に甲子園出場経験のある「実力校対決」を制し、2回戦に進出した。

初球から絶好球は逃さない。1回の大会初打席は左前打で出塁すると、1点を追う3回無死では「投手が苦しい中チームを助けようとしていたので、仲間の思いを絶対に無駄にしない」と、狙っていた初球の直球を強振。金属音を響かせた打球は放物線を描きながら左翼芝生席に着弾した。ベンチで応援していた仲間もベンチ前で同点弾を祝福し、この回の逆転に結びつけた。その後は右前適時打と中前打で安打を量産した。

大会前の一打が、意識を変えさせた。これまでの練習試合では甘い球を見逃して「あの時あの球を打っていれば…」と後悔もあったが、大会直前の練習試合で本塁打を放ち「甘いボールを1球で仕留めるイメージができた」と好感触を得た。この日は「この大会では絶対に悔いを残したくないので、初球から絶対振っていく意識だった」と4打席いずれもファーストスイングで結果を残した。千葉勝英監督(47)は「思い切りよく打席に向き合っている。やってくれるだろうなという思いはあった」と主軸の活躍を喜んだ。【相沢孔志】