野球をやりたい一心で、難病を克服した選手がいる。滋賀短大付の清水龍輝内野手(3年)だ。中1の冬に白血病を発症。10カ月に及ぶ闘病生活で、体重は30キロ台にまで落ちた。立つ、座るなど当たり前のことができない生活。「闘病中が人生で一番つらかった」。 苦しい治療の日々…。心の支えは大好きな野球だった。3キロから始めた毎日のランニングは少しずつ距離を伸ばし、5キロを習慣にすることができた。「粘り強くなりました」。体調も回復し、心も強くなった。

そんな中3の冬、滋賀南リトルシニア時代に指導を受けたコーチの恩師にあたる、滋賀短大付の保木(ほうき)淳監督(36)に声をかけられた。「野球がしたいならやろう!」。その言葉で高校でも続けることを決めた。保木監督は「真面目で懸命。よく成長した」と努力を重ねた3年間を振り返る。そして昨秋、正三塁手をつかんだ。

この日の比叡山戦は7番でスタメン出場。チームは初回に先制したが、逆転で初戦敗退を喫した。清水も無安打に終わったが「後悔はありません。もう一度野球ができてうれしい」とさわやかに言った。球児の夏は終わったが、新たな目標ができた。「医療系の勉強がしたい。自分と同じように、病気に苦しむ人たちのために」。今度は夢を支える番になる。【関野真佑】

◆清水龍輝(しみず・りゅうき)2003年(平成15)5月28日、滋賀県栗東市生まれ。小3から大宝西ファイヤーズで野球を始める。中学は滋賀南リトルシニアに所属。家族は両親と兄。163センチ、60キロ。右投げ右打ち。