<高校野球神奈川大会:向上13-0綾瀬>◇17日◇3回戦◇横須賀スタジアム

「つづけつづけ!」。一塁側ベンチからひときわ大きく、高い声が響く。向上初の女子マネジャー、高下純伶(すみれ)さん(3年)だ。「1人だけ性別も違って声のトーンも違うので、もっと内容が届きやすいと思います」。対戦相手、綾瀬の前試合へ足を運び、傾向を分析。この日の試合では、最前列から誰よりも大きな声でアドバイスを送り、13-0の5回コールド勝ちに貢献した。

19年の新グラウンド完成をきっかけに、女子マネジャーが募集された。3歳から12年間バレエを続けてきたが、見学に訪れたグラウンドで「入るしかないと思った」。活気あふれる野球部に魅せられ、市川希さん(3年)と共に初代女子マネジャーとなる決意を固めた。

大変なことも多かった。初めはスコアも書けず、選手とのコミュニケーションもうまく取れなかった。だが「マネジャーも戦力。チームのために頑張って欲しい」という平田隆康監督(46)との交換ノートの言葉に支えられた。

選手と同じように怒られ、たくさん泣いて成長した。今では、平田監督が「チームの柱。勝つための戦力としてベンチに入れている」と全幅の信頼を寄せる存在。「選手のためになる声がけを続けていきたい」。21人目のメンバーが、同校初の甲子園を目指す。