5年ぶり2度目出場の聖隷クリストファー(静岡2位)は、津田学園(三重3位)に8回コールド勝ちし、秋春通じて東海大会初勝利を挙げた。1番成田勝英(しょうえい)内野手(2年)が5打数5安打とチームをけん引した。

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乗っている男の勢いは止まらなかった。聖隷クリストファーの成田は初回先頭で二塁打を放つと、エンジン全開だった。「とにかくチームの力になりたかった」。3回は中前打、5回にはこの日2本目の二塁打で出塁。7、8回にも単打を放った。大事な初戦で5打数5安打。県大会決勝から10打席連続安打の離れ業で勝利に貢献し「自分ができることをやった」と控えめに喜んだ。

県大会は18打数9安打で打率5割だった。しかし、県大会以降に極度の打撃不振に陥った。練習試合でも振るわず「すごく悩んだ」という。今大会も不安を抱えたままの出場だった。それでも、意識したことは「バットのトップを上げて、しっかりと当てること」。打席に入ると気合の雄たけびを上げ、自らを奮い立たせた。

愛知県豊橋市出身。地元開催の凱旋(がいせん)試合で感覚を取り戻した。11月3日の2回戦では中京(岐阜1位)と対する。相手のエース瀬戸亮太(2年)は小中学校時代のチームメートだ。成田は「今日でいいイメージができた。打ちづらいピッチャーだけど、どうしても勝ちたい」。かつての戦友も攻略し、チームを4強に導く。【神谷亮磨】

○…百戦錬磨の名将も、大勝発進に驚きを隠せなかった。大会前に不振だった聖隷の打線はこの日、計15安打と爆発。上村敏正監督(64)は「本当に調子が悪かったのでビックリする」と目を丸くした。同監督は浜松商と掛川西の指揮官として、春夏通算8度の甲子園出場を誇る。9度目の聖地を目指す戦いで、これ以上ないスタートを切った。「やっといつもの感じに戻ってくれた」と安堵(あんど)の表情を見せた。