大阪桐蔭(近畿・大阪)が毎回安打の18安打11得点で広陵(中国・広島)の猛追を振り切り、初優勝を決めた。松尾汐恩捕手(2年)は2本塁打の大活躍。4回に左翼に3ランを放つと、7回もソロ本塁打を放ち、4安打4打点の大暴れだ。また、中央学院大(関東5連盟第1代表)が激闘の末、慶大(東京6大学)を下して初優勝した。

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秋晴れの神宮で、大阪桐蔭ナインが人さし指を天に突き上げた。広陵の反撃に耐えて神宮初優勝。ベンチ入りの18人中、17人を起用し、全員野球で頂点に立った。西谷浩一監督(52)は試合前、選手に「今日は総力戦でやろう」と伝えた。

過去に2度、甲子園春夏連覇に導いた名将は「全員で勝ち取った勝利。41人の勝利だと思います」と強調した。両校33安打の壮絶な打ち合いを制した。強烈なダメージを与えたのは松尾だ。3点差に迫られた7回2死。体付近の速球にのけぞり、マウンドをにらむ。直後、また速球が内角へ。腕を畳んで軸で回り、詰まりながら左翼席に運んだ。

「少し詰まりましたが、自分のスイングをできて、ホームランになりました」

4点リードの4回も初球速球をとらえて左翼へ。1戦2発で高校通算17本塁打だ。3回は中前に運び、相手守備が一塁走者の三塁進塁に気を取られる間に二塁を陥れた。「ベースが空いていた。相手のスキを狙って常に行く」。攻めの走りも強さの源だ。西谷監督はナインに口酸っぱく言う。「1つのヒットで二塁を狙え」。好走塁で突破口を開き、二、三塁に好機を拡大。先制につなげた。

星子天真主将(2年)は仲間に訴えた。「自分たちは力がない。束になって泥臭く戦おう」。3月のセンバツは初戦敗退。夏の甲子園も2回戦で姿を消した。神宮Vは王者復権のノロシだ。指揮官は「秋はまだ力が不安定。まだまだ力がないのは自分たちが一番、分かっている」と言う。前田悠伍投手(1年)も擁する。来春のセンバツに向け、力を蓄える。【酒井俊作】

▽大阪桐蔭・前田悠伍投手(8回から登板し2回1失点)「もっと真っすぐを磨く。真っすぐあっての変化球。ひと冬越えて投球をレベルアップできればいい」

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