ピンと張り詰めた空気が漂う。木更津総合(千葉)が毎年、年末に行う強化合宿には「名物」と言われる「3分間スピーチ」がある。出場を当確にした来春センバツに向け、今年は23日から1週間の予定で強化合宿が始まり、うち4日間で行われる。2日目の24日、緊張の会場に潜入した。

全体練習が終わった午後6時。学校の講堂には、選手、スタッフ、保護者の計48人が静かに待ち構えた。手には採点表。10点満点で採点し、合宿の最後には順位が発表される。この日のスピーチは12人。1人ずつ壇上に上がり、自分が決めたテーマに沿って話した。

テーマは2週間前、各自で決めた。ルーズリーフ1枚半に原稿をまとめ暗記。話すスピードを考えながら3分間にまとめた。主将の中西祐樹捕手(3年)のテーマは「キャプテン」。「思っていることを素直に伝えたいと思いました」。かつてOBの早川(楽天)からは「嫌われ役」の重要性を説かれたこともあった。

「キャプテンになってから、チームを強くしたいという思いから人を怒るようになりました。しかし、それだけではチームを変えることはできません。そこで私はひとつ気付いたことがあります。それはチームが変わらない原因を相手に求めていたことです。(中略)チームや相手を変えるためには、自分自身を変えることが大切であり、チームのために自分が何ができるのか真剣に考え、自分に原因を求められる責任感が必要だと分かりました」

「3分間スピーチ」は五島卓道監督が社会人野球の監督を務めていた時「人前で自分の意見を話せるようになるため」と取り入れた。同校の監督就任後も継続。「今やらなければならないことが見えてくるんです」。選手自らが考え答えを出すことで、やるべきことへの気づきが深まり、お互いの理解も深まる。

例年スピーチの成績がいいチームは野球でも好結果を残すという。養った力を、来年どんな形で大舞台で発揮してくれるのか。堂々とプレーする姿が目に浮かぶ。【保坂淑子】