国学院久我山(東京)が、イチロー氏(48=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)直伝の「頭を使う野球」で、春夏通じて初の8強入りを決めた。1回に4番下川辺隼人内野手(3年)のセーフティースクイズで先制。5回には3者連続バントで追加点を奪った。チーム目標である「甲子園ベスト8」を春の段階で達成した。
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小技をたたみかけた。初回1死二、三塁。主砲・下川辺が打席に立つと、相手守備陣は昨秋神宮大会で本塁打を放った強打を警戒した。「打ってくるだろうな、という守備隊形だったんです。(犠打のサインが出て)しっかり転がせば1点入ると思って」。相手の裏をかいたセーフティースクイズで、野選と悪送球を誘い2点をもぎ取った。5回には相手投手が交代したタイミングで3者連続バント。貴重な追加点を奪った。
イチロー氏が太鼓判を押す“久我山野球”を体現した。昨年11月の来校時に「頭を使う野球っていうところが、すごくいいよね」と伝えられた。その象徴ともいえる形で得点を重ねた。
ナインは「自分たちの武器はバントです」と言い切る。自信の裏には尾崎直輝監督(31)の「縛り過ぎない」指導がある。下川辺は「尾崎監督は(犠打のフォームで)決まりを作らない。『自分たちがやりやすいように』といつも言ってくださる。だからこそ、やりやすさがある」と話した。選手自身は自主的に打撃練習中にバント練習を取り入れる。選手に備わる“頭を使う”意識が、小技の技術を作っている。
尾崎監督は大会前、「この春は(成長への)通過点にすぎない」と、選手に伝えていた。その中での目標の甲子園8強を達成する快進撃。「イチローさんにまた一戦勝ちましたと報告したい。素直に彼らはすごい。誇りに思いますし、成長が輝いて見えます」とたたえた。【阿部泰斉】

