青森の野球大好き女子中学生に希望を与える。弘前学院聖愛が今春、県内初の女子硬式野球部を創部した。部員は現在5人だが、来たる公式戦に向けて一致団結で練習に取り組む。初代監督は同校男子硬式野球部で部長を務めた、太田淳氏(55)が就任。弘前から日本一へ-。チーム一丸で夢への道を歩んでいく。

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弘前学院聖愛が、高校女子野球頂点への第1歩を踏み出した。今春から県内初の女子硬式野球部として始動し、太田監督は「動きがいい子もいますし、びっくりしました。この子たちは硬式が初めてですが、ボールへの対応も早いと思います」と、選手のポテンシャルの高さに目を細めた。

「県内初」という責任を強く感じている。昨年10月、創部を正式発表。県内のチームへ生徒を勧誘に行った時のことだ。「(高校は)どこに行くの? と聞いたら、花巻東(岩手)の見学に行きました。盛岡誠桜(岩手)の予定です。もう野球をやめようと思っています。公立高校に行きますと話す子もいました」。野球がやりたくても、青森ではできない-。その現状と言葉が、より一層気持ちを奮い立たせた。

太田監督 聖愛は元々女子校で、今年で136年目です。136年前に女子の教育が不要だと言われた時代に、この地で聖愛は女子教育に取り組んだ。うちがやる必然性があるんじゃないかと感じました。

環境を整えるべく、かつてバレーボール部とバスケットボール部の寮だった場所を整備。部員5人のうち4人が寮に入った。

勝利とともに重要なことがある。「(女子野球の)普及活動が一番かなと思います。この子たちの夢をかなえることも大事ですが、野球をあきらめる子たちを減らしたいです」。1期生で青森・むつ市から入学した原田愛望(あみ、1年)も同じ思いだ。「県内初でいろんな方から期待されていると思う。甲子園に行って日本一になって。女子野球の良さを広めたい」。

昨年、同校男子野球部は8年ぶり2度目の甲子園出場を果たした。そして、女子の選手権決勝は史上初めて甲子園で行われた。将来的な大きな目標を聞かれた太田監督は、笑顔で言った。「(同校が甲子園で)男女の決勝をやることです」。まずは、創部初勝利を目指して練習を積み、青森の野球界に新風を吹かす。【相沢孔志】