今春センバツ出場校の市和歌山は「怪物封じ」の米田天翼投手(3年)が鮮やかな完封で、近畿大会出場枠を引き寄せた。1回、連打で1死一、二塁のピンチを招くが140キロを超える速球も生かして中軸を抑えた。6回は野手の2失策で無死満塁の窮地に陥ったが後続を断った。センバツ後、初の公式戦先発で9回103球0封の米田は言う。

「今日はストレートがダメだった。変化球で的を絞らせないようにした。近畿大会をかけた試合。自分が投げ抜く気持ちだった」

前日7日の準決勝は昨夏の甲子園優勝校で県内の宿敵、智弁和歌山と対戦。2-4で敗れたが、エース米田は登板しなかった。5月21日開幕の近畿大会は和歌山県で行われ、主催県として3枠が与えられている。すでに智弁和歌山と和歌山商の出場は決定。3枠目を巡る戦いは大黒柱に託された。3回、寺田椋太郎外野手(3年)の左犠飛で幸先よく先制した。5回には村上遙飛内野手(1年)の中堅への適時打などで3点を追加。8回は松村祥吾捕手(3年)の中前適時打などで2点を加え、効果的に得点を重ねた。

最速149キロ右腕の米田は昨年に続き、今春センバツも登板。初戦で、大会開幕時に高校56本塁打をマークしていた花巻東の花巻東・佐々木麟太郎内野手(2年)を完璧に封じて注目された。一方で、準々決勝では大阪桐蔭に0-17の大敗。救援で1回8失点だった。「佐々木選手と対戦してストレートが通用する自信がつきましたが、大阪桐蔭戦では、コントロールで少しの失敗を簡単にホームランにされてしまった」。自信と失意の間で揺れ動いたセンバツ8強の春をへて、夏に向かう。

◆センバツの市和歌山・米田VS花巻東・佐々木麟VTR 米田は佐々木麟の甲子園デビュー戦だった3月23日に対戦した。3番一塁の「怪物」と対峙。4打数無安打1死球だった。1回無死一、二塁で速球で再三空を切らせ、しりもちをつかせる強振を誘い、外角140キロ速球に空振り三振だった。3回は先頭で外角高め139キロ速球で2打席連続の空振り三振。5回は内角145キロ速球で詰まらせて三飛。8回も内角143キロに再び詰まらせ一ゴロだった。