南北海道で準々決勝3試合が行われ、知内が昨年準優勝の札幌日大に2-1で競り勝ち、97年以来25年ぶりの4強入りを果たした。0-1の7回2死一塁で、最速147キロのプロ注目左腕、坂本拓己(3年)が左中間に逆転2ラン。投げても9回5安打1失点、13奪三振完投と投打で勝利に導いた。南大会の準決勝は25日、札幌円山で行われる。

自分で打って取り返した。1点ビハインドの7回2死一塁、1ストライクからの2球目、外角スライダーを、豪快にかち上げた。「センターフライかと思った」打球が、ぐいぐい伸び左中間スタンドへと吸い込まれた。「入ってびっくりした」という、高校初本塁打で逆転すると8、9回を無失点で締め、四半世紀ぶりの準決勝に導いた。

打撃に関し吉川英昭監督(46)は「まったく期待していない。投球に集中してもらえるように8番にしている」と話すも、本人は「ちょっと調子が悪くて気にしていた」と言う。前日にフォームを確認。吉川監督ら指導陣から踏み込む際に体が後ろに傾いていると指摘を受け「顔を前に残すイメージで」外の変化球を逆方向に運んでみせた。

投球でも高い調整力を披露した。変化球主体で入った初回に2四球。1死二、三塁のピンチは夏前に覚えたチェンジアップで連続三振を取り切り抜けたが、2回以降は直球主体に切り替え、終わってみれば13奪三振。この日最速は145キロもヤクルト伊東編成部長は「2回から別人のようだった。空振りも見逃しでも三振が取れて非常にいい」。現役時代左腕だった巨人柏田スカウトは「大事な調整能力を持っている。地区予選より良くなっている。よくここまで仕上げてきた」と進化を感じ取っていた。

25日の準決勝は、今春の全道大会準々決勝で敗れた、プロ注目の150キロ左腕、門別啓人(3年)擁する東海大札幌と対戦する。「春に1度対戦して負けている。1つ1つのプレーを丁寧にやっていきたい」。寮の部屋には、昨年北海からソフトバンク入りした目標の左腕、木村大成(18)の名を記し「木村を超える」と書いた紙を貼っている。「僕はまだまだです」。まずは同学年の左腕対決を制し、聖地への道を切り開く。【永野高輔】