福岡大会は準々決勝2試合が行われ、今春センバツ8強で優勝候補筆頭の九州国際大付が4強入りを決めた。注目の2年生スラッガー・佐倉侠史朗内野手が、東筑戦で右翼席最上段の看板を直撃する特大3ラン。節目の高校通算20号に到達し、勝利に貢献した。

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「あそこまで飛ぶとは思わなくて…」。打った本人も驚きの1発だった。1回2死一、二塁。九州国際大付の5番佐倉が、内角高めの直球をとらえた。打球は右翼席最上段にある「安川電機」の看板を直撃。飛距離にして120メートルを超えていた。しかもバットの先端で、だ。佐倉はドヤ顔で一塁ベースへ歩き出す。「ライトの方、見てました」。自分でも思わず、先制の特大アーチに見とれていた。

節目の高校通算20号が決勝3ラン。「先制点が大事だと考えていました。安打を狙ってホームランを打てたのはよかったです」と、満足顔だ。元プロの楠城徹監督(71)も「久々に1打席目に打ってくれて、びっくりしたね」と目を丸くした。3回にも中前適時打で2安打4打点。13安打10得点の猛攻を呼び、4強入りに貢献した。

今大会は5試合で14打点。184センチ、106キロの2年生巨漢スラッガーは「自信にもなりますし、調子や技術の向上にもつながる。まだまだ取れるところを取っていきます」と頼もしかった。

チームの苦境を救う活躍でもあった。エースの香西一希投手(3年)は、体調不良で福岡大会の戦線を離脱。センバツ8強の主戦だった左腕の不在は痛いが、佐倉を中心とした打線が奮起した。佐倉は「香西さんがいなくても今のチームには信頼できるピッチャーはいる」と前置きした上で、こう言った。

「香西さんのためにも絶対に勝つ。今まで助けてもらった分、恩返しというか。今までエースに頼りっぱなしでした。しっかり自分たちが仕事をして、甲子園にいけたらと思います」。

春夏連続の甲子園出場で、エースの復活を待つ。

16年以来6年ぶりの優勝へ、あと2勝。佐倉のバットで、戦国福岡を勝ち抜く。【只松憲】

◆佐倉侠史朗(さくら・きょうしろう)2005年(平17)11月3日生まれ、福岡県久留米市出身。小学1年の時に軟式の「宮ノ陣フラワーズ」で野球を始める。宮ノ陣中では硬式の「球道ベースボールクラブ」に所属し、本格的に一塁に挑戦。九州国際大付では1年春からベンチ入り。1年秋の県大会から主に4番を任され、高校通算20本塁打。憧れは西武森友哉とヤクルト村上宗隆。趣味は「寝ること」で好きな言葉は「継続は力なり」。184センチ、106キロ。右投げ左打ち。