公立の生駒が72年以来、半世紀ぶりに奈良4強に進出した。2点差を追いつかれた8回、炎天下の球場。中堅を守る熊田颯馬主将(3年)が両足をつって芝生に倒れ込んだ。一時中断。流れは橿原に傾いていた。「僕がここで終わるわけにはいかない。最後までチームを引っ張りたかった」。そのままグラウンドに立ち続け、試合は延長へ。

10回、先頭の熊田が二塁手の失策を誘う強い打球で出塁する。4番篠田莉玖(りく)捕手(3年)の左前打で無死一、三塁。続く野村拓外野手(3年)の左飛で、足を痛めた主将が必死の走りで決勝のホームを踏んだ。生駒は50年ぶり、橿原は15年ぶりの4強を目指した公立校対決。全力を尽くした激闘に、球場は拍手に包まれた。

北野定雄監督(63)は「ご覧の通り特徴のないチーム。ただ、みんなでしんどいことを乗り切れるチームでもある」。2回1死満塁で走者一掃、先制の適時三塁打を放った飯田智規内野手(3年)は「4強に入れば50年ぶりというのは聞いていました。より一層、やってやろうという気持ちになった」と胸を張った。

創立60年目の生駒は春夏通じて甲子園出場はまだない。26日の準決勝は夏の甲子園20度出場の智弁学園との対戦。春季県大会3回戦で6-5で勝った相手だ。50年前は準決勝で天理に敗れており、勝てば初の決勝進出となる。サッカー部は今夏の全国高校総体に出場。北野監督は「彼らが伝統になる」。歴史を刻む夏はまだ続く。【益子浩一】