帝京長岡が春の覇者・東京学館新潟に大勝した。14-3の7回コールド勝ちして、夏は初の4強入り。台湾人留学生ボーウェイ・ジャン右翼手(3年)が本塁打2本を含む、5打数4安打6打点と大暴れした。準決勝は26日、ハードオフ新潟で行われる。

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大砲が目覚めた。4番打者のボーウェイが“サイクル超え”の大噴火を見せた。本塁打2本に、右中間三塁打と右前打。3回2死二塁に公式戦初本塁打を左中間芝生スタンドに打ったと思ったら、6回2死三塁には2本目を右中間席に放っていた。「入った瞬間、ちょっと泣きそうになった」と感激の公式戦初本塁打を振り返ったが、2本目は「うれしかった」と喜びはちょっぴり薄まるほどの打撃の勢い。覚醒したバットは6打点をたたき出した。

4回戦の新潟県央工戦は2打数無安打で3打席目に代打を告げられた。その日は学校に帰るとサブグラウンドでのバットスイングをBチームの練習とほぼ同じ時間を費やして繰り返した。台湾からの留学生は「生活面に困ったことはない」と話すが、「打撃には悩みがあった」と言う。

そんな苦悩を解消するため、稲元智コーチ(49)がマンツーマンでティー打撃につきあった。切れを取り戻すための連続ティー。タメを作って繰り広げるティー打撃。「いいものを持っている。あとは気持ち。執念」と稲元コーチが言う「気持ち」を初の4強入りを決める準々決勝で前面に出した。

芝草宇宙監督(52)は「(この日のような打撃を)続けなさい」と言いながら2個のホームランボールを手渡した。「1本目の本塁打は感動した。チームがひとつになった瞬間」と主砲が打撃開眼した豪打を評した。「チームに貢献する打撃ができて良かった」と話したボーウェイは「聖地」甲子園へ、視線を向けていた。【涌井幹雄】

<春王者・東京学館新潟「力負け」>

春の覇者、東京学館新潟がまさかのコールド負け。旅川佑介監督(40)は「力負け。思った以上に押し込まれた」と話した。被安打は11だったが、投入した4投手のうち3投手が計11四死球を与え、7盗塁で塁上をかき回された。守備もほころび、4失策。「私がバタバタしている感じが移ったのか、何でもないプレーが手につかなかった」と守備のミスを残念がった。