盈進(えいしん)が48年ぶり3回目となる夏の甲子園出場に王手をかけた。チームを引っ張ったのは先発の向井勇(ゆうき)投手(3年)だ。2回戦を除く5試合目の先発。「緊張したがいつも通り打たせていこうと思っていた」と言葉通り凡打の山を築いた。6回を投げ抜き、3安打無失点。近大福山打線を寄せ付けなかった。「今日は制球が良かった。勝ててホッとしている」と胸をなで下ろした。

背番号11だった昨夏も敗戦した4回戦まで全試合で先発した。昨年に比べると「試合の入り方や打者の入り方、配球や持ち球でどう抑えるかといった考え方」が成長したと分析。佐藤康彦監督(47)も「コントロールやキレも含めて投球の質が良くなった。精神もコントロールできるようになった」と1年間の成長を評価する。27日の決勝戦の先発マウンドに関しては「本人が元気で行きたいと言えば(投げさせる)」と、先発濃厚だ。

そんな経験豊富な右腕を導いているのは帽子に記した四字熟語だ。つばの部分に「勇往邁進」とある。3年に学年が上がってから友人に書いてもらったメッセージで「どんなことがあっても強く立ち向かっていけるように」と願いが込められている。

約半世紀ぶりの聖地へ、あと1戦。佐藤監督は「いつも通り。こどもたちは(48年前の甲子園出場を)知らずに育ってきている。そういうことを考えずに自分たちの歴史をつくってほしい。いつも通りで」と平然を求めた。

古豪が12年以来の決勝に臨む。【前山慎治】

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