<高校野球西東京大会:日大鶴ケ丘6-2早大学院>◇27日◇準決勝◇神宮
高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
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悔やみきれなかった。早大学院・笠尾一登内野手(3年)は「自分のエラー。まだ気持ちの整理がつかないです」と、うつむき加減で話した。1-0の4回2死二塁、日大鶴ケ丘・伊藤のフライが一塁上空へ。笠尾は捕球体勢に入る。攻守交代と思われた直後、日差しが重なり視線を切ってしまった。ポテン…。無情にも、ただの内野フライが同点打となった。
木田茂監督(66)も「流れが変わっちゃいました」と悔やむ“太陽安打”。先発岡村が5回に3点を勝ち越された。笠尾はサングラスをかけていなかった。「後悔がたまってます。試合前に見て、(サングラスなしで)いけるかなと思ったんですけど。もうちょっと準備できたかなと。みんなに申し訳ないです」。
だが、みんな責めなかった。むしろ「切り替えて」「バットで返していけ」と励ましてくれた。同校初の決勝進出は逃したが、13年ぶり4強。笠尾は「絆を深めてチーム力が高まったのが要因です」と言ったとき、誇らしげだった。18歳にはしんどい体験も「自分の中で消化して次のステージにつなげられたら」。視線を上げた先、真夏の太陽が輝いていた。【古川真弥】

