<全国高校野球選手権:土浦日大8-3上田西>◇6日◇1回戦
高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
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上田西のエース・権田は「今まで味わったことのない最高の気分で楽しかった」と悔いなく最後の夏を終えた。試合前、始球式を務めたWBC日本代表元監督の栗山氏にはマウンド上で「これだけの観客の中で野球が出来ることを楽しんで」とエールをもらった。「少し緊張してしまったけど楽しむことが出来た」と四球スタートの初回を0点に抑え、落ち着いた投球で5回4安打2失点と好投した。
甲子園には小学生から高校に進学するまで、毎年必ず家族で足を運んだ。一番印象に残っているのは18年夏の金足農と大垣日大の一戦。「140キロ後半のストレートとスライダーもキレが良くてすごかった」と金足農のエースだった日本ハム吉田の姿に感銘を受けた。この日、権田は初回から自己最速タイの143キロを出すなど幼少期からの憧れの舞台で、堂々と腕を振った。
帽子のつばには「氣と笑顔」の文字。試合前日の夜に滝沢と一緒に書いた。延長10回タイブレーク。3番手の滝沢が打ち込まれた。権田は伝令としてマウンドに向かい「気持ちで抑えろ。笑顔も忘れずに」と帽子のつばを見せ、切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間を鼓舞した。
大学でも野球は続けるつもりだ。「高校野球の仲間とやってきたこの経験を生かしていきたい」と前を向いた。【星夏穂】

