土浦日大(茨城)が、春夏通じて初となる開幕戦の延長タイブレークを制し、86年以来37年ぶりの甲子園白星を飾った。茨城大会準決勝で頭部に死球を受け、ドクターストップで決勝を欠場した塚原歩生真捕手(ふうま=3年)が、延長10回に左前適時打を放った。2-2で迎えた10回は1死満塁から代打の飯田将生捕手(3年)の左前適時打で勝ち越すなど、一挙6得点。上田西(長野)に競り勝ち、粘りの土浦日大を発揮した。

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野球って楽しい! 塚原は誰よりも試合を楽しんでいた。県大会準決勝で頭部に死球を受け退場して以来のプレー。「みんなと試合ができる」。ワクワクした。

延長10回に1点勝ち越し、さらに2死満塁。小菅勲監督(56)から「任せたぞ」のサインに「任せてください、自分が決めてきます」と、心の中でつぶやき大きくうなずいた。2球目のスライダーを芯で捉え4点目を挙げた。「めちゃくちゃ気持ちがよかった」。主将の一打が火付け役となり、5連打でこの回6点を挙げて試合を決めた。

県大会準決勝、常磐大戦で頭部に死球を受け、決勝戦は医師から出場を止められ、悔し涙を流した。「塚原を甲子園に連れて行く」とチームがひとつになり、3点を追う9回に5点を奪って逆転。チームメートがくれたこの舞台。「次は絶対に自分が助ける。その気持ちだけでした」。7月31日に再検査を行い、医師から許可を受け大阪入り。2キロ落ちた体重をトレーニングで3キロ増やし調整。「感覚を取り戻しました」。万全な状態で初戦に臨んだ。

もう1人、思いを背負う選手がいる。18年、カル・リプケン12歳以下世界少年野球大会日本代表に選ばれ、大阪桐蔭・前田悠伍投手(3年)とバッテリーを組んだ。プロ注目左腕とは、今でも親友だ。「左投手は独特の曲がり方をする。前田の球を受けたおかげで、基礎がしっかりできた」と左腕エース藤本のリードに経験を生かした。大阪桐蔭は大阪大会決勝で敗戦。4日、前田の誕生日には「お誕生日おめでとう」とラインでメッセージを送ると「ありがとう、オマエも頑張れよ」と返事がきた。前田の分も、甲子園で活躍する。覚悟ができた。

夏の甲子園は37年ぶりの勝利。公式戦でのタイブレークは過去2戦2敗だったが、さまざまな場面を想定して練習してきた。「すぐに切り替えて次の試合に備えます」。塚原の「恩返しの甲子園」は始まったばかりだ。【保坂淑子】

○…土浦日大のアルプスからは、塚原の父誠さん(51)が単身赴任先のカナダから応援のために帰国。母ゆりかさん(52)、兄直生さん(24)とともに観戦した。幼少時は3年間家族で米国で生活。物おじしない性格で英語が話せなくとも積極的に友達をつくり、ティーボールで野球の基礎を身につけた。誠さんは「歩生真の名前にはまっすぐ歩んで生きてほしいという願いを込めた。そのままに育ってくれてうれしい」と、温かく見つめた。

○…藤本士生が先発&救援で勝利に導いた。8回途中まで2失点に抑えると、一塁に回った。リードを奪った後の延長10回裏に再び登板して試合を締めた。伸びのある直球と多彩な変化球を駆使した左腕は「開幕戦ということで気持ちがたかぶりすぎていた。(再登板は)少し体はきつかったけど、最後は強い気持ちで投げられたと思います」と汗をぬぐった。