第96回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)から反発力を抑えた新基準の金属バットが導入されることを受けて日本高野連は27日、横浜市内の日本シャフト株式会社のバット製造工場を報道陣に公開した。

今春から導入される背景には、打球による負傷事故を防止する目的がある。バットの最大直径が従来より3ミリ短い64ミリとなり、打球部は3ミリから4ミリと厚くなる。打球初速は約3・6%減少し、飛距離も落ちるという。

高校日本代表の小倉全由監督(66)も参加した。計38年間、関東第一と日大三(ともに東京)で監督を務め、22度の甲子園出場へ導いた名将は「新基準のバットは芯にしっかり当てていかないと良い打球は生まれない。指導者として、木製バットを基準としたスイングを教えていくことが一番大事」と実感した。

一方で戦術の変化については「バットが変わるからスモール野球になるっていうのは、自分は考えてないんですよ。野球っていうルールの中で1点を取り合う形は変わらないと思います」と不変とした。【佐瀬百合子】

○…日本高野連は金属バットのリサイクルを今後も取り組んでいく方針を明かした。不要になったバットを、抽選会などで持参してもらう取り組みを行っており、22年夏の実施では、1万285本の金属製バットを回収し、リサイクルした。小倉氏は「正直現場としては太さが変わったくらいの感覚でした。工程を見させてもらって、ここまで大事に作ってもらっているんだって。グラブなんかは大事にしろってよく言うんですが、指導者が子どもたちに伝えていかないといけないと強く感じました」と話した。