東北の熱い夏が始まった。第106回全国高校野球選手権宮城大会が6日、東北6県の先陣を切って開幕した。2年ぶりとなる楽天モバイルパーク宮城での開会式には66校全59チームが参加。開会式後に行われた、同球場では5年ぶりとなる夏の開幕試合では、白石工が佐沼に3-1で競り勝った。エース右腕の佐藤大翔(ひろと)投手(3年)が9回6安打1失点の完投勝利で、18年以来6年ぶりとなる夏1勝をつかんだ。秋田大会は開会式のみ行われ、試合は今日7日から始まる。
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憧れのマウンドから見る景色は壮観だった。開幕戦の特別な雰囲気の中、佐藤大はプロの試合で見ていたマウンドに「こういうキャッチャーの見え方なんだ…」と、独特の緊張感を味わいながらも腕を振った。
憧れの投手は楽天の岸孝之だ。「外の真っすぐがきれいで、内角の真っすぐも球速が落ちない。自分もそういう投げ分けができたら」。この日は岸さながら、思い描いた通りに外角いっぱいに決め球の直球を投げ込み、アウトを重ねた。
打線が5回まで1人の走者も出せず沈黙。厳しい展開だったが、エースは「7回までホームベースを踏ませることなく、粘り強く守備ができた」。走者を許しながらも先制点を与えず、粘りの投球を続けた。
均衡が破れたのは7回裏1死二塁。失策が絡み先制点を挙げると、適時失策と中前適時打でさらに2点を加えた。援護を受けた佐藤大は「心強かったです。守備も調子が良かったので、三振を取りに行くというよりもチームで守るという風に楽に投げられました」。仲間を信じ、8回に1失点したが、9回も3者凡退でしっかり締めた。
エースの好投に応え、バックも堅い守備でもり立てた。春は県大会初戦の名取北戦で8失策と浮足だったが、この日は2失策。慣れない芝生の球場でも地に足をつけた戦いで、最少失点で切り抜けた。
岸と同じ景色を見てつかんだ勝利に、佐藤大は「自分の成長につながる投球ができた。とてもいい経験になりました」と喜びをかみしめた。準決勝まで勝ち進めば、再び楽天モバイルパーク宮城で戦える。「1勝1勝を重ねて、またここに戻ってこられるように頑張ります」。憧れのマウンドでの再登板と2勝目を目指し、宮城大会を勝ち上がっていく。【濱本神威】
○…佐沼の山田祐大外野手(2年)が大会初安打を放った。2回2死の場面で初球を振り抜くと、打球は投手を強襲する内野安打となった。「初球から行こうと思っていた。振るだけでした」。手応えはいまいちだったが、全力で一塁を駆け抜けた。だが以降は無安打。チームも6安打でわずか1得点で初戦敗退となった。「ふがいない結果だった。先輩として、チームをまとめられるように、引っ張って行けるように頑張りたいです」と新チームに向けて前を向いた。

