走り出して約3メートル。打球が三遊間を抜けるのを確信した新潟産大付の4番多田大樹内野手(3年)は、すぐに右手でガッツポーズを作った。1-1の7回2死三塁、花咲徳栄のエース上原の144キロ内角直球をたたき、左前へ決勝適時打。「自分たちは挑戦者。プレッシャーとかはないんで、相手が焦ってくれたらラッキー」。激戦の埼玉大会で一度も追いかける展開がなかった17年全国覇者から、この夏初めてリードを奪う殊勲打を決めた。
試合にも、幼なじみの親友にも、負けたくなかった。0-1の6回に同点二塁打を放った6番千野虹輝外野手(3年)は新潟・長岡市の栃尾南小時代からの幼なじみ。「あいつが打って、俺が打たないとって気持ちになれた」。負けじと放った意地の1本で、同校を初勝利に導いた。
多田が小1から野球を始め、千野が追いかける形で同じチームに入った。お互いの家も、歩いて5分ほどの距離。時間さえ合えば、公園で練習し、登下校も一緒にした。中学も同じ。高校は新潟産大付への進学を決めていた千野が多田を誘い、再び同じ道を歩んだ。
一緒にうまくなっていった幼なじみ同士の一打で、新潟に7年ぶりの夏1勝を届けた。千野は「一緒に甲子園行こうって言って、それで2人で活躍できてうれしい」と声を弾ませ、多田は「もっと新潟の歴史を変えていきたい」。2人の高校野球ストーリーは、まだまだ続いていく。【大島享也】

